あけましておめでとうございます。2026年もどうぞよろしくお願いいたします。新年最初の話題は、昨年末についに完了した研究室の大掃除です。なんと15年ぶりくらいに床が見えました。ゴミ袋は10袋近く。まるで発掘調査のようで、30年近く前のパルミラ滞在時の日記や、昔の展覧会の記念クッキー缶など、思わぬ「遺物」が次々と出土しました。発掘された大量の本は、そのうち学生の皆さんへの配布会を開こうと思っています。
「日本人はミイラを飲んでいたからエジプト好き」説
年末に監修した新刊(都市伝説にツッコミを入れていくスタイルの、ふりがな付きオールカラー本です)にも関連して、面白い説が話題になりました。「日本人がエジプトに惹かれるのは、江戸時代にミイラを漢方薬として飲んでいたから」というのです。真偽はさておき、これは意外と筋の悪くない話で、日本ではミイラが「怖いもの」ではなく「高級薬」というプラスのイメージで受容された歴史は事実です。一方ヨーロッパでは、ミイラの包帯を人前で解いていく「ミイラ解き」が社交イベントとして流行した時代がありました。同じミイラでも、文化によって受け止め方はまるで違うのです。
午年に考える、古代エジプトの馬
今年は午年ということで、古代エジプトの馬の話を少し。実はエジプトに馬がもたらされたのは比較的遅く、新王国時代の直前、ヒクソスと呼ばれる人々が戦車(チャリオット)とともに持ち込んだとされています。当初は王侯だけが使える貴重品で、ツタンカーメンの副葬品の戦車や、カデシュの戦いの浮彫に描かれた勇壮な馬たちは、まさに王権の象徴でした。
面白いのは、ピラミッド建設のような大工事で家畜を使ったという記録がほとんどなく、基本的に人力だったこと。そして、あれほど何でも神様にしてしまうエジプト人が——犬も猫もワニも、オシリス神話で悪役のはずの魚までミイラにして崇めたのに——馬やロバやラクダの神様は作らなかったことです。ちなみにラクダがエジプトの壁画にほぼ登場しないのも意外な事実で、砂漠の相棒としての活躍はずっと後の時代のこと。「使役される新参の動物は神になれなかった」のではないか、というのが私の見立てです。神々の世界にも、いわば古参の序列があったのですね。
今年の目標
チャンネル登録者は2000人まであと少し。達成の際には、大掃除で発掘されたパピルスや文房具のプレゼント企画を考えています。今年も研究に発信にツアーにと動き回る一年になりそうです。本年もどうぞお付き合いください。