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古代ローマ人の食卓を再現してみた!

大城 道則

今回は少し変わった企画です。ローマで修行したイタリアンシェフの協力を得て、古代ローマ人の食卓をまるごと再現してみました。古代のレシピを実際に作って食べてみる——こうした試みは「実験考古学」と呼ばれる研究手法のひとつで、文献を読むだけでは分からない当時の暮らしの実感に近づくことができます。

四角いパン「パーニス・クワドラトゥス」

まず登場したのは、古代ローマの定番だった四角いパン「パーニス・クワドラトゥス」。ポンペイの遺跡からは炭化したこのパンが実際に出土しており、壁画にも描かれている、いわば古代ローマの顔ともいえる食べものです。今回は天然酵母を使って再現してもらいました。手でちぎって食べるのが当時の流儀。食べてみると素朴ながらしっかり美味しく、参加者からも驚きの声が上がりました。

アピシウスのレシピと格闘する

再現のベースにしたのは、古代ローマの料理書として名高いアピシウスのレシピ集です。ただしこの本、分量も手順もほとんど書かれていません。シェフいわく「絶対に作者は料理を作ったことがないと思う」——実際にレシピを再現しようとした人だけが言える、実感のこもった感想でした。

鳥料理のレシピを一例に挙げると、「水・塩・ディル・酢で煮て、ネギとコリアンダーを束にして入れ、ブドウの煮汁で色をつけ、コショウやラーセルなどを擦りつぶして酢とナツメヤシを加え、小麦澱粉でとろみをつける」といった具合。ここに登場する「ラーセル」は、古代に珍重されながら採り尽くされて絶滅したとされる植物シルフィウムのこと。現代では手に入らないため、風味が近いとされるインド原産の香辛料ヒングで代用しました。

フラミンゴの舌は、さすがに

古代ローマの宴会料理として有名な「フラミンゴの舌」は、当然ながら入手できません。豚の舌で代用しようかという案もありましたが、最終的にアヒルの舌に落ち着きました。ほかにも、鶏肉団子の小麦澱粉ソースがけ、卵でとろみをつけるソースの魚料理、ルカニア風ソーセージなど、次々と古代のレシピが食卓に並びます。

味の決め手はやはり魚醤「ガルム」です。古代ローマでは調味料の王様で、最高級品はスペイン産だったといわれます。ワインは、干しブドウと蜂蜜を使った甘く酸味のあるスタイルを再現。当時のワインはかなり酸っぱかったらしく、イタリアの再現動画でも酢を加える様子が見られます。

再現してみて分かること

驚いたのは、どの料理も「普通に美味しい」ことです。古代のレシピが優れているのか、シェフの腕が良いのか——おそらく両方でしょう。文献の上では意味の分からなかった記述が、実際に手を動かすことで一気に立体的になる。これこそが実験考古学の醍醐味です。パンを焼く窯や、牛に挽かせる製粉機の話など、遺跡から出土する道具との対応も確認できました。

好評につき、第2回も検討中です。詳しくはぜひ動画をご覧ください。

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