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おおしろ教授の世界古代遺跡探訪⑫【メディネトハブ遺跡】

大城 道則

今回はルクソール西岸のメディネト・ハブ遺跡を紹介します。新王国時代の王ラメセス3世の葬祭殿で、王家の谷やハトシェプスト女王葬祭殿にもほど近い、遺跡の密集地帯にあります。ツタンカーメンの葬祭殿跡や、発見が話題になった「ゴールデンシティ」も歩いてすぐという、まさに一等地です。

エジプト唯一の「ミグドル」門

メディネト・ハブの入口でまず目を引くのが、塔のような形の門です。これはミグドルと呼ばれる西アジア様式の建築で、エジプトの神殿ではここでしか見られません。ラメセス3世の時代はシリア・パレスチナ方面との戦いが多く、その経験が建築にも壁画にも色濃く反映されています。有名なのが「海の民」を撃退した場面のレリーフ。後ろ手に縛られた異民族の捕虜が民族ごとに描かれ、名前が刻まれている場面は、歴史資料としても第一級です。

手が入るほど深い彫り、鮮やかな天井

この神殿のレリーフは彫りが異様に深いことでも知られています。深いところは手のひらがほとんど入るほどで、これなら後世の王に名前を削られる心配もありません。柱廊の天井を見上げると、青・緑・赤の彩色が驚くほど鮮やかに残っています。日光が当たらない場所は色が残りやすいのです。ずらりと並ぶ王子たちの名前のリスト、セクメト女神の像など、見どころは尽きません。

広い神殿ですが、30〜40分もあればじっくり堪能できます。周辺には食堂もあるので、名物のナスのペーストやトマトの煮込みで腹ごしらえをしてから回るのが私たちの定番です。ルクソール西岸に行かれたら、王家の谷だけで帰らずに、ぜひメディネト・ハブまで足を延ばしてください。詳しくは動画でご覧ください。

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