今回はナイルデルタの東部にある古代都市タニスを紹介します。映画『レイダース/失われたアーク』の舞台として名前を聞いたことがある方も多いはず。私は7〜8年ほど前、共同調査の候補地としてこの一帯を歩いた際の写真をもとにお話しします。
ツタンカーメンに匹敵する大発見の地
タニスを有名にしたのは、フランス人研究者ピエール・モンテによる王墓の発見です。彼はもともとラメセス2世の都ペル・ラメセスを探してこの地を掘っていたのですが、偶然、第21王朝の王プスセンネス1世の未盗掘の墓を掘り当てました。中から現れたのは、総銀製の棺と黄金のマスク。「シルバーファラオ」と呼ばれるゆえんです。発見の規模だけならツタンカーメン王墓に匹敵する大発見だと私は思うのですが、時は第二次世界大戦のさなか。世界の注目を集めることなく、いまも知る人ぞ知る存在にとどまっています。出土品はカイロで展示されてきましたので、エジプトへ行く方はぜひ探してみてください。
オベリスクが転がる大平原
現在のタニスは、見渡す限り何もない平原に、ラムセス2世の名を刻んだ石材やオベリスクがごろごろと転がる、良く言えば「遺跡の原風景」のような場所です。倒れたままのオベリスクが何本もあり、壁に葬送の船などが刻まれた王墓の竪穴も、屋根の骨組みだけが架けられた状態で野ざらしになっています。日本に1本くらい分けてほしい、と冗談を言いたくなるほどの豊かさです。デルタ地帯は観光ルートから外れがちですが、歴史の厚みではエジプト屈指。聖地巡礼を兼ねて、いつか訪れてみてください。詳しくは動画でご覧ください。
YouTubeで元の動画を見る|チャンネル登録はこちら