デンデラのハトホル神殿シリーズの締めくくりとして、今回は神殿そのものをゆっくり歩きます。「電球」と天体図という小ネタを先にやってしまいましたが、この神殿の本当の魅力は、圧倒的な柱と色彩、そしてそこに残された人々の祈りの痕跡にあります。
上を見上げて歩く神殿
神殿に入ってまず圧倒されるのが、女神ハトホルの顔を柱頭に頂く巨大な柱の森です。そして天井。夜空の女神ヌトや星々が、鮮やかな青とともに残っています。みんな自然と上を向いて歩くことになり、首が痛くなるのがこの神殿の「お約束」です。ところどころ黒くすすけているのは、後の時代にここに住み着いた人々が煮炊きをした跡。3000年の間にはいろいろな人がこの屋根の下で暮らしてきたわけです。有名なクレオパトラのレリーフも外壁に残っています。
柱の削り跡が語ること
私が注目してほしいのは、柱のあちこちにある「削り取られた跡」です。地元で聞いたところでは、これは昔の参拝者たちが、神殿の石の粉をお守りとして削って持ち帰った跡だといいます(現在やれば文化財破壊の重罪です。絶対に真似しないでください)。神殿には、妊婦の姿のカバの女神タウェレトや、女性と子どもの守り神ベスも刻まれています。ハトホルは女性の守護神。子を授かりたい人々が祈りに訪れた場所だったのでしょう。壮大な建築の中に、こうした庶民の切実な祈りの跡を見つけたとき、遺跡は急に生きた場所として立ち上がってきます。ルクソールからの小旅行として、デンデラは自信をもっておすすめします。詳しくは動画でご覧ください。
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